自分の事しか考えない人

 「自分の事しか考えない人」って言葉、今の世の中では多くの人がこの言葉を悪い意味で使う。
自分の実利だけを考えて他人を貶めたり迷惑かけたりする人に対して
「アイツ、自分のコトしか考えて無いじゃん」とか。
でもそれは、現代の人間のレベルの低さを証明してるだけに思えてならない。

 そもそも俺から言わせれば「自分の事しか考えない事の何がいけないの?」という感じ。
よっぽどアイデンティティの不安定な人でなければ、
人は皆、自分の事しか考えない生き方をしているハズじゃないのか?
他人の事を思いやるのも、自己犠牲の精神を持つのも、
自分がそうしなければ気が済まないといった様な感覚から来てるモノでしょ。
それはつまり、最終的には自分の為。
だって、本当に自分にとって何のプラスにもならない行為だったら、まずしないでしょ。
自分らしさを保つ為や、他人からの点数稼ぎの為や、
場を円滑に保つ為…それらのメリットを感じているからする訳で。

 自分の事しか考えていないという事をちゃんと自覚出来ている人間こそ、
本当に信用出来る人間だと俺は思う。
例えば友達にしても、ちゃんとメリットを感じてくれた上で自分の友達でいてくれる人の方が、
しっかり自分の事を見てくれてるのが明白だし、自分的にもその人の事を信用できるでしょ?
それに、自分の心の充足を感じる為に他人を思いやってる人こそ、
本当のその人の心の奥に優しさを持つ美しい人なのではないかな、と思う。

 そのハズなのに多くの人は、
自分の事しか考えない生き方を誇りに思う事が出来ないばかりか、それを悪く捉えている。
自分の事しか考えないという自分の本性が、いかに汚れきっているかが解る。
つまり、「自分の為」にする事の程度がとても低くてネガティブなのだ。
単に人に嫌われない為や、その場を円滑にするという防衛の意味での「自分の為の事」しか考えられないから、
それを本当に「自分の為」だと自覚できないのではないか。
そんな人間が不安定になった時などに珍しくアグレッシブに「自分の為の事」をするから、
それが他人を貶めたり迷惑をかけたりする行為になってしまうのだろう?
それは、普段自分を隠し続けて生きている嘘つき共が、
酒で酔っぱらった時に腐った性根を露呈してしまう様に似ていると思う。
普段の自分がネガティブで保守的だから、本当の自分が錆び付いて汚れきってドス黒くなってしまうのだ。

 「自分の事しか考えない」という言葉を悪く使う人間は、裏を返せばそいつが
「自分の事だけを考えた時、その言葉の標的になる人間と同じ様な行為をしますよ」と宣言している様で、
とっても見苦しいし、醜い、と俺は思う。
自分の事しか考えていない自分を強く誇れる様な生き方や思想、
感覚を持っている人でなければ、俺は美しいとは思わないし、そんな人間は信用するに足らない。
してはいけない。

自分の事しか考えない自分を、磨きあげるべし。








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